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本稿はꡔ万葉集ꡕ・ꡔ古今集ꡕやꡔ伊勢物語ꡕにおける和歌を中心として古代日本社会の風流について考察を試みた｡風流は韓国・中国・日本のような東アジア三国において共通的な美的理念であるが､日本は日本なりの独創性をもつ｡日本における風流は｢みやび｣として存在する｡それは当時日本の都を中心とした宮廷風の洗練された意識の表出であり､さらに､酒宴などの私的な詠歌の場において､即応性を以て現れる｡即応性の妙味はその場にある素材をいかに活かしてその場にふさわしい雰囲気を創り出すかにある｡都市風の教養の篭った､結構乱れのない､分別力の上にその場の雰囲気を創り出す能力こそ､古代日本社会の風流男の備えるべき要素であった｡本稿では考察の対象を10世紀頃の和歌文学に限定して考察を試みた｡物語文学における色好みや近世の好色との相関関係については後稿を期したい｡
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