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논문 기본 정보

자료유형
학술저널
저자정보
홍명희 (울산여자상업고등학교)
저널정보
한국일어일문학회 일어일문학연구 일어일문학연구 제122권
발행연도
2022.8
수록면
169 - 194 (26page)

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本研究は、1940年2月に脱考し、4月に発表された『善蔵を思う』を軸に、中日戦争当時の太宰文学に表れた三鷹と津軽という空間のありようを作品の内と外から探り、さらにそれに基づいて<私>像を綿密に考察することで作品を総合的に評価しようとしたものだ。 まず、作品の背景として、中日戦争という戦時下の厳しい統制と共に好景気があげられる。出版業界は、概ね好況で、当局の方針に触れるのでなければ、小説は売れる時代であったのである。このような背景において、太宰は関東大震災以後、東京大都市圏の拡大や戦時下の軍需工業化で形成された三鷹に引っ越し、高価な薔薇が買え、『黄金風景』で獲得したコンクール賞の賞金で妻の家族と伊豆に一泊旅行に行け、さらに同郷の芸術家たちの会合が実現できた。 〈私〉は、作中で中心的な二つの話題、すなわち、騙されて買った薔薇の話や同郷の芸術家たちの会合の話において、自己嫌悪に陥っていたことを回想し語っている。その回想の現在は、騙されて買ったと思った薔薇が実は優秀な薔薇であったことを確認したという時点にある。罪意識などによって不安な<私>は、贋百姓に薔薇を買わされ、同郷の芸術家たちの会合で失敗するが、自分の弱さと対峙しそれを受け入れていきながら安定していく。〈私〉は、贋百姓が過剰な売り口上で見えにくくなっていたものの、真意においては正直であったことを知り、浅墓と誤解されがちな自身を写し見て、同類意識を感じる。これでこれまでに縛られていた故郷への思いから解放されたと言える。そこには、従来言われてきたような、善蔵の悲惨な生き方への共感だけがあるとは言えないだろう。「一瞬」のささやかな実感であったとしても、「神は在る」「薔薇の生きて在る限り、私は心の王者」だと、人間や人生に対してひとまず信頼を取り戻し、ありのままに生きていこうと考える地点から、善蔵に共感のまなざしが注がれているのだと捉えるべきであろう。

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